芸術性と社会性について


芸術活動とは、社会性を無視した表現活動でありまして、人間性に即した精神的活動です。故に、いかなるものも芸術表現を阻止することはできませんし、そのような完全自由な表現のなかにこそ芸術性というものが発揮されるのです。しかし、芸術性が高いものであっても、反社会的だとされると、それは公開することができません。芸術家といえども社会的人間なのですから、これもまた、致し方ないことであります。
私は、芸術性と社会性は表裏一体だと考えます。芸術性を追求すれば社会性を解さなくなり、社会性を推し進めれば芸術性が失われてしまいます。どちらも必要で、どちらか一方だけだと困るのです。では、芸術性と社会性が均衡のとれたものがいいのかというと、おそらくそのようなものが一番つまらないのでではないでしょうか? 芸術性は高ければ高いほど素晴らしく、社会性も高ければ高いほど素晴らしい。つまり、芸術性と社会性は両立しないのです。

ヤクザと娼婦とジャンキーがいた方が芸術的には面白いけど、現実社会ではゴメンです。

ということですね。

芸術家はこのことをしっかりと肝に銘じておく必要があります。おそらく、芸術家であるためには極めて良識をわきまえた社会的人間でなければ、続けることは困難となってくるでしょう。(勿論、分かっているとは思いますが、芸術活動はこれとは別のことです。)